移りゆく気持ちはやがて大きな後悔へと繋がる
部内恋愛禁止だったことから、お互い意識していたけれど踏み込めない部活動生活を送っていた僕と彼女。無事卒業を迎え僕達は付き合うことに。しかし僕の若さゆえの移ろう気持ちが、彼女を傷つけ大きな後悔へと繋がっていく。
栃木県宇都宮市の奇跡の出会い体験談
彼女との出会いは高校2年生の時。所属していた放送部に新たに入部してきた新入生の中に彼女はいた。あまり目立たないタイプで内向的、でもふとした時に見せる笑顔が可愛らしく、すぐに彼女に夢中になる。
幸いなことに彼女とは電車で帰る方向が一緒。駅まではバスも一緒になることから意図せずして彼女との時間を増やすことができた。朝の通学もたまに一緒になったり、休日もたびたびメールや電話をするようになり、日増しに彼女との距離は近くなっていった。
しかし、僕は彼女にもう一歩近づくことを躊躇っていた。なぜなら我が放送部は“部内恋愛禁止”という鉄の掟があったからだ。僕は放送部に出会いは求めておらず、純粋に放送部の活動に魅力を感じ入部した。それだけに退部になるようなトラブルは起こしたくないし、皆に迷惑をかけたくもない。
出会って最初の夏、僕は彼女に気持ちを伝えた。「付き合ってください」とではなく、「好きです」と。彼女はそれがどういうことかすぐに察したみたいで、「私もです」と言い返すと、それから卒業まで僕たちは手を繋ぐこともなかった。
卒業を迎え、僕は東京の大学に進学した。そして彼女と正式に付き合うことになった。一年間の遠距離恋愛の後、彼女も後を追って東京にやってくる。1年くらいなんてことないとお互い安心感を持って過ごしていた。
しかし状況が変わったのは夏休み
彼女は部活動が大詰めになり、受験勉強も大変になってきた。かたや僕はといえば、大学最初の夏休み、遊ぶことしか考えていなかった。入った環境ボランティアサークルは形ばかりのサークルで、本分は遊んで飲んでの楽しければ良い集団。
いろんな刺激が僕を誘惑した。中でも僕を誘惑したのは、垢抜けていて洗練された女の子たち。同じ土俵に立とうと、流行りものの洋服を買いモテそうな音楽を聞き、徐々に東京に染まり始めていた。
そして僕は、程なくして同じサークルのある女の子に好意を持つようになる。その子もまんざらでも無さそうで僕たちはデートを重ね、一気に心変わりを迎えてしまった。
浮気は良くないと思い、僕は彼女に別れを申し出た。本当の気持ちを言うことができず、それっぽいことを言って無難な別れを求めた。彼女は泣いて食い下がったが、その後は僕が一方的に連絡を絶つように。程なくして、彼女からの連絡はなくなった。
その後、心変わりし思いを寄せた女の子に告白したが、そんなつもりはなかったとフラれた。後から知った話だが、色んな男に近づいては品定めをしていたみたいで、サークル内で3股をかけているとの噂が広まりその子は姿を消した。
そして彼女はというと、東京の大学に進学したとのことだったが、これも後から聞いた話で、僕と同じ大学に進学するために必死に勉強していたそうだ。
離れて過ごした日々の中で彼女を思いやり、気持ちを通わせようと考えたことはあっただろうか。本当に自分を大切に思ってくれているのは誰だろうかと考えたことはあっただろうか。
人と人との繋がり、誰かを思いやる気持ちを大切にして生きてゆこうと心に誓った大学生活であった。