不思議な空間から始まった未熟な恋の結末の話
私が彼に出会ったのは、私がひそかに気に入っていたバーでした。彼は3歳年下でそのバーでバーデンダーとしてアルバイトをしていたのです。とても静かな人でした。私は仕事の後にそのバーへ行って、彼が静かに話をしているのを聞くのがとても好きでした。
神奈川県茅ケ崎市の奇跡の出会い体験談
ちょっと低い落ち着いた声が、波の音と調和して心が落ち着いたのです。そのバーは海のすぐそばにあるバーでした。
あんなふうに一目ぼれ感覚で恋に落ちたのは初めてでした。でも年下の人だったので本気になるまいと思っていたのです。私たちはそこにくるお客さんから押された形で何度かデートをするようになりました。
その町のいろいろなバーを訪ねました。でも、訪ねていくと、彼が案外おばさんキラーなのがわかってきました。年上の女性にことごとく好かれていたのです。彼は自立した女性が好きみたいでした。
夢や目標を持った人が好きだと言っていました。そんな話を聞くたびに私は落ち込みました。なぜなら私は、夢も目標もなくただ毎日同じ仕事を何年もして過ごしており、そのくせもちろん彼の夢を支えてあげられるような甲斐性もなかったからです。
彼は常に夢をもっている人たちを「素敵ですよね。」と言っていました。私の心はささくれたようになっていきました。
ところがある日彼が私に、「好きです。付き合ってください。」と言っていました。
私はその時、なぜか本心ではないのではないかと感じました。でもどうして彼がそういうのがわからなかったのです。あるとき、私が彼の家に電話をすると、お母さんが電話に出ました。
彼が在宅中かどうか尋ねると、ちょっとお待ちくださいといって、受話器を手でふさぎ、「どうする?いないって言おうか?」という声がかすかに聞こえました。私はその時ほど心が踏みにじられたと感じたことはありませんでした。
侮辱をはるかに超えたその彼の母親の行動と、その場に居たに違いない彼がそこで電話に出ず、母親が「いまいませんよ。」と私に冷たく言ったときのことを今でも忘れることができません。
そしてそのあとに彼を顔をあわせたときに彼が言った言葉、「僕、人を本気で好きになることができないんです。」という言い逃れに、正面切って私の顔は引きつりました。彼は、好きだ、と思ったんだけど、やっぱりそうじゃなかったと言ったのです。彼の言っていることがよくわかりませんでした。今でも一体何が起こってどうなったのかわかりません。ただわかっていることは、彼は私に正直に全部を話してくれなかった。
そして私は彼のことを全く理解することができなかったということです。お互いに未熟だったのかもしれません。今は風の噂で彼は夢を叶えて生きていることを知りました。私も、あの時の私とは違う、自分に自信をもって生きている私がいます。未熟な恋でしたが、成長することはできました。なければならなかったことなのかなと今は思えます。